人工知能ブームと就活の関係

世の中は、「人工知能」ブームで沸いている。しかしながら、人工知能の研究者や、関連研究室の学生の就活については、本当に明るいものだろうか?

私は、このブームに関して何度かあった現象を、思い起こしている。一番近くでは、「複雑系ブーム」で、数学出身者がもてはやされた時である。この時は、金融工学、XX工学などと色々な表現で、株価などの予測が数式的にできるような「夢」を多くの人に抱かせた。そしてその数式が理解できる、数学科出身がもてはやされたのである。
しかしながら、このような数式は、

「あたるときには当たる」

レベルの予測能力でしかなかった。そして、その後の採用の流れは、地道なフィールドワークの訓練を受けた、文化人類学の研究者などに重点が移ったという笑い話がある。

さて、今回の「人工知能ブーム」に関しても同じような図式が見えるように思う。確かに人工知能の研究でも、東大の大須賀先生等の昔からの「モデル作成」等の基本をきちんと研究していた人たちなら、企業に言っても色々と現在の「ビッグデータ解析」の技術などを使いこなすだろう。しかし、一般的に、ビッグデータ解析のソフトウエアの使い方を知っているレベルでは、前の例にある、リーマンショック前に採用された数学出身のような、悲喜劇になるのではないかと思う。
さて、上述の例では、数学から文化人類学者になった。今回はどの分野が、本当に役立つだろう?私の予測では、ルーマンなどの流れをくむ社会学系が、本当に役立つのではないかと思う。
しかし、ルーマンの「社会システム理論」など、本当に教えている、社会科学系の大学はどれぐらいあるのだろうか?