就活で主張できる強み

就活のエントリーシートなどで記入する、自分の強みについて、採用側目線で考えてみた。まず採用側の考えは、単に現状の力や知識より、
将来も成長する可能性
を重視している。そのために必要なものは、以下の3点になる。

  1. トラブルに対処し自分で道を切り開いた経験
  2. 多面的な見方で論理的に原因結果を考える力
  3. 自分の経験を一般化し他でも使えるようにする

この3者は独立でなく、総合的に働くものである。トラブルが発生した時にも、冷静に原因を追究し、対処する力があれば、打たれ強く自分で道を拓くことが多い。さらに、多面的な見方ができれば、トラブルへの対応力はますます強くなる。

そして、自分の経験を一般化する力は、論理的に考えることで、本質を見抜く力が必要である。本質を見抜けば、一般化することが容易である。一般化し、その限界も考える。このような力があれば、自分の経験を生かして成長していくことができる。

このような人財を採用側は求めている。

人工知能ブームと就活の関係

世の中は、「人工知能」ブームで沸いている。しかしながら、人工知能の研究者や、関連研究室の学生の就活については、本当に明るいものだろうか?

私は、このブームに関して何度かあった現象を、思い起こしている。一番近くでは、「複雑系ブーム」で、数学出身者がもてはやされた時である。この時は、金融工学、XX工学などと色々な表現で、株価などの予測が数式的にできるような「夢」を多くの人に抱かせた。そしてその数式が理解できる、数学科出身がもてはやされたのである。
しかしながら、このような数式は、

「あたるときには当たる」

レベルの予測能力でしかなかった。そして、その後の採用の流れは、地道なフィールドワークの訓練を受けた、文化人類学の研究者などに重点が移ったという笑い話がある。

さて、今回の「人工知能ブーム」に関しても同じような図式が見えるように思う。確かに人工知能の研究でも、東大の大須賀先生等の昔からの「モデル作成」等の基本をきちんと研究していた人たちなら、企業に言っても色々と現在の「ビッグデータ解析」の技術などを使いこなすだろう。しかし、一般的に、ビッグデータ解析のソフトウエアの使い方を知っているレベルでは、前の例にある、リーマンショック前に採用された数学出身のような、悲喜劇になるのではないかと思う。
さて、上述の例では、数学から文化人類学者になった。今回はどの分野が、本当に役立つだろう?私の予測では、ルーマンなどの流れをくむ社会学系が、本当に役立つのではないかと思う。
しかし、ルーマンの「社会システム理論」など、本当に教えている、社会科学系の大学はどれぐらいあるのだろうか?

心理学系の学科の就職について(不安な点)

前に、心理学関係の学科の就職について、心配している方がいたので、大丈夫という意見を書いておいた。しかし、よく考えてみると、一つだけ不安な点が出てきた。

私の感じる不安というものは、価値観の相違である。もう少し言えば、営利的な企業活動に対する否定的な考えである。この否定に関しても色々なパターンがある。まず、経済学などの学生は、お金という数値で表せるものでの評価ということに、基本的に合意することが多い。しかし、心理学などでは、数値化できないものを重視し、数値を軽く見る場合もある。さらに、金銭的なモノの評価も低い場合もある。

例えば、市場に評価などでも、価格面での均衡を考える。従業員の評価に関しても、まず金銭ということで給与額や賞与の話になる。しかし、心理学なら人間関係を重視するだろう。

このような、価値観の相違が一つの障害になることもある。このような障害は、自分たちが意識することで、相手の価値観を理解し、合わせることができるようになる。こうした対策ができれば、心理学の出身だからと言って、恐れることはないと思う。

昔の話であるが、ソ連崩壊までは、日本の大学の経済学の多くは「マルクス経済学」であり、資本主義経済には否定的な教育すらあった。それでもたくさんの学生を採用し、しかも今の会社の幹部になっている人間もいる。このような事例もあることは知っておいてもよいと思う。

心理学関係学科の就職について

Y○知○袋で一度答えたことがあるが、
「心理学系学部の就職が不利」
という話に関して、もう少し踏み込んで議論してみたい。

まず、この話の背景を少し考えてみよう。現在社会は、多くのストレスを抱えている。特に個人が抱えていることが多く、厚生労働省などは、色々と政策的な手段で対応しようとしている。この流れに乗って、カウンセラーの育成に目をつけ、臨床心理士の育成などを売りにした、心理学系の学部学科の増設があった。このような新設学科の売りの一つは、
「時代のニーズに合っている」
ということで、就活の有利さを匂わせている。

しかしながら、カウンセラーに関しては、臨床心理士以外にも、色々な資格があり、しかも実践叩き上げのベテランが多くいる世界でもある。また、個人スキルでの差も多く、感受性の違いなどあり、適性の差が大きい仕事である。これは、大学を卒業したから身につくというものでもない。

このような現状を考えると、臨床心理士だけの狭い見方で考えると、必ずしも就職において有利とはいいがたい面がある。しかも、学科設立時などのキャンペーンがどこまで強引だったかをによるが、状況によっては既存学科の敵意を買っている場合もある。厳しく見ると、同じ大学で学生の奪い合いをしている。そこまで行くと、今までの反動で、きつい意見が出ることも少なくない。

さて、本当に心理学系の学科は、就職に不利だろうか?私は、元は技術職だが、会社生活の半分以上は、総務(人事研修)に籍を置いた。そして、初級の産業カウンセラー資格も取得した。この経験から、カウンセラーの勉強は、会社の仕事に役立つと自信をもって言える。特に、職場活性化の手法などは、本質を理解するためには、ロジャーズの積極的傾聴法やエンカウンターグループの理解は必須である。また管理面では、動機づけの知識も必要であり、精神的な安定に関する見通しも必要である。

さらに、認知心理学の分野まで知識があれば、お客様の行動に関し適切なモデルを作って、マーケティングに関して見通しをよくすることもできる。社会といえども個人の集まりである。一人一人の動機付けなどを、ある程度説明できるモデルを作れるなら、市場調査や計画なども説得力あるものができるだろう。

このように自分の知識を生かすことができれば、心理学関係の出身者の活躍の場は広がると思う。

コミュニケーション能力の位置づけ

CommSaiyou

コミュニケーション能力を単独で考えるのではなく、知識などの能力と相対的に考えると、上図の図式が見えてきた。就活などで、コミュニケーション能力重視というが、これは非常に誤解を招きやすい。

つまり、上図の左側を占める、それほど他の能力がない人材が、口先だけ達者なら、採用されると思い込む危険性である。一方、採用側の希望は、右側の高能力者の中で、コミュニケーション能力を重視している採用を考えることが多い。

このミスマッチが、就活での失敗につながることもある。

MBA手法を使う人、使われる子

経営学部や学科を卒業した子は、生意気で就職に苦労する、と言う話を聞いたことがある。私の会社生活の経験では、会社の仕事の上で、MBA(経営学修士)の教材などで使っている手法は、便利なものとして使っていた。従って、経営学の出身者は、事務系の学生では、会社向きの人財ではないかと考えていた。もう少し言えば、理学部と工学部の関係で、他の文系学科と経営学を見ていたように思う。

しかし、この反論として、MBA(経営学修士)の資格を取っても、えらそうに言うだけで、会社の実務はできないという話も聞いた。それを考えると、経営学部などでても、就職に苦労するというのも、あるのかなと思ってしまった。

さて、ここでMBA取得者が、なぜ失敗するのか考えてみた。あるところで聞いたジョークに

「MBA取得者を見分けるには、目の中をのぞいてみたらよい。田の字が見えればMBAだ。」

がある。これは、MBAの手法では色々なものごとを、4つに分類することが多いことを皮肉っている。確かに、重要性と緊急性のような2つの次元で評価し、それを高低で分けると4つの箱となる。このような見方で、優先度をつけることは、考え方としては有効である。

しかしながら、現実の複雑さを、いきなり4つのマスに分けて、割り切った見方をすることは、多くのモノを見落としてしまう危険性がある。いろいろと現実に向き合い、真剣に悩んだ末に4つのマスに振り分けるなら、よりわかりやすい整理とし多くの人が認めるだろう。しかし、いきなり4つのマスでしか見ない人間は、生意気なことを言っていると、拒絶されることも多いだろう。

MBA手法を使いこなす人と、使われている子の違いは、このような所にある。

なお、これをもう少し広げて考えてみた。
昔、マルクス主義経済学が日本の大学で、多く存在した。ある人は、大学の9割はマルクス経済学と言っていた。しかし、ソビエトの崩壊に応じて、その研究者は減り、多くの大学は既存教官の退官をまって、マクロ経済・ミクロ経済の形に入れ替えていった。さて、マルクス主義経済学を学んだ学生を、企業は喜んで受け入れたであろうか?
『資本家悪人論』
『社畜』
等と、まじめに働く人間を罵倒する研究室の学生を、能力があるからと言って、採用していたのが現実である。ただし、その時の条件は、
「大学で学ぶことは仕事に関係ない」
であった。

しかし、私が思うに、マルクス主義経済学は、あまりにも現実の一面だけで考えすぎる。金銭的な面だけでの数式評価、このような見方ですべてを説明しようとする姿勢、これが本当に拒絶された理由だと思う。このれを考えると、学生時代の知識だけでなく、物の考え方の基本までが否定されることになる。大学と企業の溝は、このようなものもあるのではと思う。

インターンシップ参加の心得

現在のインターンシップは、採用活動に直結していることも少なくない。
そのような場において、どのような振る舞いが良いのか、文書作成の観点で考えてみた。

まず、必ず行うべきことは、自分が行ったことの正確な日誌をつけることである。事実関係を記載する、これがなければ何も進まない。次に、感じたことを記載しておく。事実と感情を分離し、記録することは、まず第一次資料として大切である。

次に、そこから感想を加える作業に入る。これは上記の感情として感じたものではなく、学生としての知識を生かして書くものである。これも2つの段階がある

一つは、説明の段階である。これは自分の知識で、今行われていることを説明してみる。説明と言うと大げさに感じるかもしれないが、学生生活で学んだ『専門用語』を使って記述する。これだけでも見通しが良くなる場合がある。例えば、「損益分岐点」などと言う言葉を使ってみる。

もう一つは、改善の提案である。これは、今行われていることに、何か改善できないか、疑問を持ち、意見を言うことである。ただし、大切なことは、学生の意見は、半分以上は実現できないということを、心得ておくことである。直接教科書の通りには、まずものごとは動かない。現在のものごとは、何とかそれで動いている。これを知ったうえで、参考意見としての提案を行う。これが一つの成果の示し方だと思う。

積極さと謙虚さのバランスが、高い能力を示すことを知っておいてほしい。

面接で落とすべき人採用すべき人

極端な題目をつけたが、面接でこれはお断りと言う人がいる。言い換えれれば、面接はこのような人を排除するために行うという採用側の本音である。

具体的には、

内定までの人

このような内定が目的の人でも、入社後頑張ってくれるなら良いが、内定だけが目的で、後は胡坐をかくような人は採用したくないのが本音である。

もう一つは、

トラブルを起こしそうな人

である。対人能力を言う場合には、この点を考えていることが多い。
今では、SNSへの不用意な投稿なども注意すべきである。

この話、もう少し思いついたことがるので付記しておく。(2015/3/16)

内定後、入社後も成長するためには、自律的な成長力が必要である。このように自律できるためには、評価基準がしっかりしていないといけない。評価を自分で行う力が大切である。そのような評価を行うためには、全体的総合的な視野が必要である。

ただし、総合的な視野と言うことは、自分の価値観や世界観ができているということである。これが悪く働くこともある。つまり自分の世界観だけしか受け入れない人間になってしまうと、会社の流儀などをすべて否定してしまう。これでは仕事ができなくなる。

自分の世界観をきちんと持ちながらも、会社の世界観と言うか、状況に応じた世界観に合わせていく。他人の世界観もあるという発想が重要である。このように他人を大切にし、しかも自分も大切にすることが大切だと思う。

 

 

 

面接において確認すること

就活などの面接において、面接官はどのようなことに注目するかを書いてみた。

一般に面接の流れは、エントリーシート内容の要約を2~5分程度の決められた時間で報告させる。そしてその内容に関する、面接官からの質問が続き、最後に面接者に対して「何か質問は?」と言う形で確認する。この各段階で着目する点は、以下のようになる。

エントリーシートの内容の説明においては、決められた時間内に、要領よく話をまとめる能力が試される。特に、結論が明確であり、その論拠と関係づけがきちんとできているか、借り物一般論だけでなく、自分の意見となっているか、体験的なものと考えがきちんと整理されているかが、一つの注目点となる。このように整理された話方ができる人間は、『地頭が良い』と評価を受ける。

また、定番である「学生時代に頑張ったこと」の説明では、ものごとに対する取り組み姿勢、その中での対人関係、そして何を大事にしているかなどを、知ろうとする、一方、「入社後の将来像」などでは、これからも成長を続ける姿勢が問われることになる。『内定までの人間』の排除は、重要な項目である。ただし、内定後のしごきに耐える見た場合には、『とりあえず内定が目標』の人在でも員数合わせにとることはある。

そして質疑応答では、質問に対して、きちんと答えが返ってくるかを見る。質問の意味が理解できなかったり、自分の思い込みで見当違いの答えが返ったりする人間は、対人スキルが低いとみなされる。

このような観点で、面接を見るのも一つの考えである。

納得されやすい話の仕方

説得力のある話方には、単なる論理的と言うものを超えるものが必要である。特に、日本語のコミュニケーションでは、高度の文脈依存性があり、話題の舞台を共有しているという、暗黙的な前提がある。従って、日本語の論理展開は、西洋的な三段論法より、以下の形が多い。

XXはYYである。
YYならばZZであるということは、当然のことである

このためには、YYと言う言葉のイメージがしっかりしていないといけない。逆に、記号の独り歩きによる混同も避けなければならない。例えば、ある火山災害の時に、自衛隊を救難派遣した。そこで、装甲車を出したが、『戦争用の車両』を出したということで、非難した評論家がいた。このような人は、『戦闘用』と言う言葉だけに反応したのであり、実際に火山弾などが降ってくる、危険な地域における防弾車両の効用を、考えていない発言である。

このような発言を、地に足がついていないというが、現実の状況と記号の関係は、抽象のレベルをきちんと見ながら評価する必要がある。このような抽象度の扱いと、前提条件の確認をきちんと行えば、説得力のある議論ができる。