心理学系の学科の就職について(不安な点)

前に、心理学関係の学科の就職について、心配している方がいたので、大丈夫という意見を書いておいた。しかし、よく考えてみると、一つだけ不安な点が出てきた。

私の感じる不安というものは、価値観の相違である。もう少し言えば、営利的な企業活動に対する否定的な考えである。この否定に関しても色々なパターンがある。まず、経済学などの学生は、お金という数値で表せるものでの評価ということに、基本的に合意することが多い。しかし、心理学などでは、数値化できないものを重視し、数値を軽く見る場合もある。さらに、金銭的なモノの評価も低い場合もある。

例えば、市場に評価などでも、価格面での均衡を考える。従業員の評価に関しても、まず金銭ということで給与額や賞与の話になる。しかし、心理学なら人間関係を重視するだろう。

このような、価値観の相違が一つの障害になることもある。このような障害は、自分たちが意識することで、相手の価値観を理解し、合わせることができるようになる。こうした対策ができれば、心理学の出身だからと言って、恐れることはないと思う。

昔の話であるが、ソ連崩壊までは、日本の大学の経済学の多くは「マルクス経済学」であり、資本主義経済には否定的な教育すらあった。それでもたくさんの学生を採用し、しかも今の会社の幹部になっている人間もいる。このような事例もあることは知っておいてもよいと思う。

心理学関係学科の就職について

Y○知○袋で一度答えたことがあるが、
「心理学系学部の就職が不利」
という話に関して、もう少し踏み込んで議論してみたい。

まず、この話の背景を少し考えてみよう。現在社会は、多くのストレスを抱えている。特に個人が抱えていることが多く、厚生労働省などは、色々と政策的な手段で対応しようとしている。この流れに乗って、カウンセラーの育成に目をつけ、臨床心理士の育成などを売りにした、心理学系の学部学科の増設があった。このような新設学科の売りの一つは、
「時代のニーズに合っている」
ということで、就活の有利さを匂わせている。

しかしながら、カウンセラーに関しては、臨床心理士以外にも、色々な資格があり、しかも実践叩き上げのベテランが多くいる世界でもある。また、個人スキルでの差も多く、感受性の違いなどあり、適性の差が大きい仕事である。これは、大学を卒業したから身につくというものでもない。

このような現状を考えると、臨床心理士だけの狭い見方で考えると、必ずしも就職において有利とはいいがたい面がある。しかも、学科設立時などのキャンペーンがどこまで強引だったかをによるが、状況によっては既存学科の敵意を買っている場合もある。厳しく見ると、同じ大学で学生の奪い合いをしている。そこまで行くと、今までの反動で、きつい意見が出ることも少なくない。

さて、本当に心理学系の学科は、就職に不利だろうか?私は、元は技術職だが、会社生活の半分以上は、総務(人事研修)に籍を置いた。そして、初級の産業カウンセラー資格も取得した。この経験から、カウンセラーの勉強は、会社の仕事に役立つと自信をもって言える。特に、職場活性化の手法などは、本質を理解するためには、ロジャーズの積極的傾聴法やエンカウンターグループの理解は必須である。また管理面では、動機づけの知識も必要であり、精神的な安定に関する見通しも必要である。

さらに、認知心理学の分野まで知識があれば、お客様の行動に関し適切なモデルを作って、マーケティングに関して見通しをよくすることもできる。社会といえども個人の集まりである。一人一人の動機付けなどを、ある程度説明できるモデルを作れるなら、市場調査や計画なども説得力あるものができるだろう。

このように自分の知識を生かすことができれば、心理学関係の出身者の活躍の場は広がると思う。