多様化時代の管理職・総合職

多様化時代の、管理職や総合職は、従来の単一的人材管理とは異なり、業務に対するきめ細かい分解的理解と、個々人の状況に対する配慮の両面が必要である。そのために、総合職希望者は、テイラーの科学的管理法を、きちんと読み込むべきである。『科学的管理法』の反例として持ち出されることが多い『ホーソン実験』は、人間性重視と言われるが実際は作業者への丸投げであり、テイラーの方がきちんと人間観察を行っていたという事実に向き合わないといけない。

また、『セル生産』に関しても、実際はそれを実現できる作業者は、図面をきちんと読める作業者であり、ある程度以上の能力者に限られている。能力が高い人材だけをそろえて、仕事するというなら、管理は最低限でよい。しかし、多様な人材を活用する場合には、業務をきちんと分割し、それに対して自分の部下の能力や、家庭状況を配慮して、負荷処理計画を立てることがスタッフ部門や管理職の仕事である。この時管理職には、人間的魅力より、知的な支配力が重要となる。
またこの時、業務全般を見渡して、改善がきちんとできれば飛躍的に成果が出る可能性がある。このような、能力のある管理職、スタッフとしての総合職が、多様化人材の活性化には有効である。

管理職の立場論

管理職は、一国一城の主として自己の裁量権を持つ。これをしっかり認識しないといけない。投資の権限がある。人材や設備に関する投資もある。人件費を単にコストとみるか、投資とみるかによって大きく違ってくる。
逆にこの自由がない、『名ばかり管理職』を作っている経営は、間違っている。また、管理職は、部下としての立場でもある。従って、自分が預かっている組織の手に余る問題や、権限外の問題は、上司や他部門の助けを得る必要がある。
しかるべき権限を使っても解決できない、これはきちんと表明すべきであり、それに対して上司はきちんと対応すべきである。
「がんばれ」
とだけ言う上司は役割を果たしているとは言えない。

学者と経営者の違いについて

科学的経営者の立場

科学的経営者の立場

学問を仕事で生かす時、立場の違いを図式表示すると、上図のようになる。学者の理論的検討は、あくまで客観的な立場で行うが、経営者の検討は自分の問題として問題領域に棲み込んでいる。

ただし、従来の経営では、経験的なものが多かったが、今後は理論的な知識も多く使うようになる。このような自分が棲み込みながら、色々な理論知識を使うのが新しい経営者である。

なお、学者と経営者の価値観の違いがある。学者はどうしても、論文となる題材を求める。そこでは、しっかりした論理的な展開を重視し、決められた前提から答えを導く。一方、経営者は現実問題への対応が大切なので、見落としがないような総合的な視野を求め、論理展開より直感的な納得を求める。

学者と経営者の違い