納得されやすい話の仕方

説得力のある話方には、単なる論理的と言うものを超えるものが必要である。特に、日本語のコミュニケーションでは、高度の文脈依存性があり、話題の舞台を共有しているという、暗黙的な前提がある。従って、日本語の論理展開は、西洋的な三段論法より、以下の形が多い。

XXはYYである。
YYならばZZであるということは、当然のことである

このためには、YYと言う言葉のイメージがしっかりしていないといけない。逆に、記号の独り歩きによる混同も避けなければならない。例えば、ある火山災害の時に、自衛隊を救難派遣した。そこで、装甲車を出したが、『戦争用の車両』を出したということで、非難した評論家がいた。このような人は、『戦闘用』と言う言葉だけに反応したのであり、実際に火山弾などが降ってくる、危険な地域における防弾車両の効用を、考えていない発言である。

このような発言を、地に足がついていないというが、現実の状況と記号の関係は、抽象のレベルをきちんと見ながら評価する必要がある。このような抽象度の扱いと、前提条件の確認をきちんと行えば、説得力のある議論ができる。

文書表現における形式の効果

若い人たちの多くは、文書作成を苦手としている。これは今に始まったことではない。少なくとも私が会社に入った三十数年前から、若い者の文書はダメとよく言われていた。そして私自身もそれを実感していた。

そして、今になって思うと、その原因の一つは、形式を知らないからだと思う。そこで世の中を見直してみた。確かにいろいろな文書には、それなりの形式がある。例えば論文には、色々な作法と形がある。このような形式に当てはめることで、考え方を整理しまとめるが、進めやすくなる。

特に会社生活では、「QCサークル活動」が、このような文書作成に、役立つと思う。
QCストーリーは以下の形である。

  1. テーマ選定:問題点の明確化
  2. 現状の把握と目標の設定
  3. 活動計画の作成
  4. 要因の解析:原因と結果の関係を明らかにし真因を追求する
  5. 対策の検討と実施:種々のアイデアを検討する
  6. 効果の確認
  7. 標準化と管理の定着:規則などで歯止めを行う

このような形でまとめることで、検討書などを作るときも、書きやすくなる。また、QCサークル活動では、色々な立場の人が参加するので、種々の見方で議論する。その中で、矛盾する要求を解決することで、協創関係が成立し、新しいものが育つようになる。

これを応用して、自分一人でも複数の見方をしながら検討し、矛盾した要求に対して、広い観点から答えを出す訓練を行うことは、今後の成長に役立つと思う。